空しか、見えない
「あと1本にしようか」
並んだフーちゃんに指を立ててみせると、ゴーグルごしにフーちゃんもこちらを見て、こくりと頷いた。
速度を落とし、ふたりで並び、同じペースで泳ぐ。
「結構、泳いだね。やっぱり、疲れるね」
フーちゃんが、のんびりと水を掻きながら言う。実際の遠泳なら、こんなペースだ。
「だけど、サセどうしたんだろうね。遅いよね」
壁にかけてある時計を見て、千夏も呟く。約束は午後7時だった。もう30分も過ぎている。いつもなら、約束の時間の10分前には必ず来ているようなサセだから、仕事でトラブルでも起きたのかもしれない。
並んだフーちゃんに指を立ててみせると、ゴーグルごしにフーちゃんもこちらを見て、こくりと頷いた。
速度を落とし、ふたりで並び、同じペースで泳ぐ。
「結構、泳いだね。やっぱり、疲れるね」
フーちゃんが、のんびりと水を掻きながら言う。実際の遠泳なら、こんなペースだ。
「だけど、サセどうしたんだろうね。遅いよね」
壁にかけてある時計を見て、千夏も呟く。約束は午後7時だった。もう30分も過ぎている。いつもなら、約束の時間の10分前には必ず来ているようなサセだから、仕事でトラブルでも起きたのかもしれない。