空しか、見えない
「あの、どうします? フィッシュ&チップス?」

 まゆみが気をきかせてそう訊ねてきたので、千夏は顔の前で、小さくバツを作った。確かに、それどころじゃないし、お腹が空いていたのも、忘れてしまった。

「それにさ、純一だけじゃないんだ。サセのところに、もうひとり、遠泳には行けないってメールを送ってきた奴がいてさ」

 環の声に、千夏はまた、ため息をつく。

「ああ、だとしたらニューヨークの困った奴ね」

「のぞむだとしたら、まだ例の病気が完治していないからなの? それとも、別の理由?」

 芙佐絵が千夏の方を覗き込む。
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