空しか、見えない
「じゃあ、これとこれをお願いします。それで、さっきの話ですけどね、一体どうしたわけです? 渡辺先生」
幾つかメニューからオーダーをすると、横にいる芙佐絵に訊ねる。
「先生だなんて、こんなところで。まあいいわ。遠泳が、急遽中止になったんです」
芙佐絵が、素直に答えを返す。
「ほえー、それはまた、なぜ? あれ、じゃ、もしかして、私なんかがここにいてはいけないような深刻な話の最中でしたか?」
「ええ、そうでしたね。ただ、先生をお呼び立てしたのは私の方なんで。あら、私も先生って呼んじゃったわ。いやだ、学校の癖で」
芙佐絵が何か答えるたびに、そのぎこちないやり取りが微笑ましくて、みんなの中にごく自然に小さな笑いが起きた。
幾つかメニューからオーダーをすると、横にいる芙佐絵に訊ねる。
「先生だなんて、こんなところで。まあいいわ。遠泳が、急遽中止になったんです」
芙佐絵が、素直に答えを返す。
「ほえー、それはまた、なぜ? あれ、じゃ、もしかして、私なんかがここにいてはいけないような深刻な話の最中でしたか?」
「ええ、そうでしたね。ただ、先生をお呼び立てしたのは私の方なんで。あら、私も先生って呼んじゃったわ。いやだ、学校の癖で」
芙佐絵が何か答えるたびに、そのぎこちないやり取りが微笑ましくて、みんなの中にごく自然に小さな笑いが起きた。