空しか、見えない
「まあさ、もう、私は中止するなら、それはそれでも構わないよ。大体サセは、どうして今回の遠泳にそんなにこだわるの? 環のプロポーズを受けるため? それとも、のぞむと復縁するような気がしたから?」
千夏の言葉を制したのは環だった。
「サセを責めてどうするんだよ。みんなとの約束を守ろう、岩井を盛り上げようって、iwaiiなんて名前までつけて、毎号毎号新聞、書いて送ってくれてたんじゃないか。サセは脇目もふらずに、水泳だって練習を続けてきたんだぜ。俺は自分がつくづく情けないよ。誰も責めるつもりなんか、ないよ。ただなんで、こんなときにさ、この足の野郎」
そう言って、自分の足のギブスを叩いた。
「ごめん、悪いけど、僕はもう帰る時間だ」
純一が立ち上がり、一万円札をテーブルに置く。
千夏の言葉を制したのは環だった。
「サセを責めてどうするんだよ。みんなとの約束を守ろう、岩井を盛り上げようって、iwaiiなんて名前までつけて、毎号毎号新聞、書いて送ってくれてたんじゃないか。サセは脇目もふらずに、水泳だって練習を続けてきたんだぜ。俺は自分がつくづく情けないよ。誰も責めるつもりなんか、ないよ。ただなんで、こんなときにさ、この足の野郎」
そう言って、自分の足のギブスを叩いた。
「ごめん、悪いけど、僕はもう帰る時間だ」
純一が立ち上がり、一万円札をテーブルに置く。