空しか、見えない
「真剣に言ってるの? 純一、本当にもうこれで終わりにしていいわけ?」

 千夏の声に、しばらく黙っていた純一が、うん、とあっけなく声をあげた。皆が言葉を失ったそのときだった。

「純一さん、あの、ちょっといいですか」

 そう声をかけ、引き止めたのは、まゆみだった。一万円札を、カウンター越しに、彼の方へと押し戻した。

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