空しか、見えない
第28話
昨夜までの雨とは打って変わり、早朝から清涼な空が広がろうとしていた。
佐千子は、実家の窓を開き、見上げた空の向こうに義朝の得意の表情を思い起こした。どこか、照れ笑いしているような、力の抜けた表情だ。それだけで、胸にこみ上げてくるものがあった。
「行ってきます。4日間も車を借りてしまうけど、心配しないで」
「えーよこーらい! がんばれー、姉貴」
いつもならまだ寝ているはずの妹が、パジャマ姿のまま、2階から降りてきて、佐千子の食べ残したトーストをつまんでいる。
懐かしいかけ声を口にして、親指を立てた。
その横で、父親が静かに頷いてくれる。
佐千子は、実家の窓を開き、見上げた空の向こうに義朝の得意の表情を思い起こした。どこか、照れ笑いしているような、力の抜けた表情だ。それだけで、胸にこみ上げてくるものがあった。
「行ってきます。4日間も車を借りてしまうけど、心配しないで」
「えーよこーらい! がんばれー、姉貴」
いつもならまだ寝ているはずの妹が、パジャマ姿のまま、2階から降りてきて、佐千子の食べ残したトーストをつまんでいる。
懐かしいかけ声を口にして、親指を立てた。
その横で、父親が静かに頷いてくれる。