空しか、見えない
「私です」
千夏が手を上げた。
「着いてから報告しようと思ったんだけど、私、何とか、専門学校の卒業が間に合ったの」
「専門学校って、あの、11月のときに言っていたパティシエの?」
マリカが驚いて、両手を顔の前に組む。
「そう、何とかね」
「水泳の練習もやりながら?」
まゆみも、遠慮がちに訊いてくる。
「私、久しぶりにがんばっちゃった。男のお尻を追いかけていないと、案外時間ってあるんだよね。ただ、卒業実習の追い込みで、最近、まゆみさんの店には行けてなかったんだけど」
「すげーじゃん、千夏」
後部座席を振り返る環を羨ましく思いながら、佐千子もバックミラー越しに声をかける。
「おめでとう、千夏!」
「後でみんなで食べてね。ダックワーズと、マカロン、作ってきたから」
「私は、例によってワインとチーズを差し入れよ」
車内はすでに軽い興奮状態に包まれ始めている。
千夏が手を上げた。
「着いてから報告しようと思ったんだけど、私、何とか、専門学校の卒業が間に合ったの」
「専門学校って、あの、11月のときに言っていたパティシエの?」
マリカが驚いて、両手を顔の前に組む。
「そう、何とかね」
「水泳の練習もやりながら?」
まゆみも、遠慮がちに訊いてくる。
「私、久しぶりにがんばっちゃった。男のお尻を追いかけていないと、案外時間ってあるんだよね。ただ、卒業実習の追い込みで、最近、まゆみさんの店には行けてなかったんだけど」
「すげーじゃん、千夏」
後部座席を振り返る環を羨ましく思いながら、佐千子もバックミラー越しに声をかける。
「おめでとう、千夏!」
「後でみんなで食べてね。ダックワーズと、マカロン、作ってきたから」
「私は、例によってワインとチーズを差し入れよ」
車内はすでに軽い興奮状態に包まれ始めている。