空しか、見えない
義朝はハッチの頃、女子たちの中でも格別に飾り気のない、素朴なフーちゃんが好きだった。彼は密かに想っていたはずなのに、誰もがその想いに気づいていた。泣き虫のフーちゃんが涙するたびに、顔を赤らめたり、はらはらしている様子が、誰の目にもわかりやすかったからだ。
佐千子は、まゆみはその頃のフーちゃんと少し似ているところがあると、今になって改めて感じる。ショートカットで、飾り気がなく、それが独特の清潔感になっていて、みんなの話を、瞳を揺らしてよく聞いていてくれる。
義朝が見つけた素敵な彼女と、フーちゃんが見つけた優しい彼。ハッチの八角形は少し欠けてしまったけれど、この短い間に新しい仲間をふたりも、自然に迎えることができたのは、やはり遠泳という共通の目標があったからだ。
吉本の運転する四輪駆動車に先導してもらい、佐千子は父のクーペで後を追う。
高速道路からの風景が、溶かされ、風に流されていくようだ。
佐千子は、まゆみはその頃のフーちゃんと少し似ているところがあると、今になって改めて感じる。ショートカットで、飾り気がなく、それが独特の清潔感になっていて、みんなの話を、瞳を揺らしてよく聞いていてくれる。
義朝が見つけた素敵な彼女と、フーちゃんが見つけた優しい彼。ハッチの八角形は少し欠けてしまったけれど、この短い間に新しい仲間をふたりも、自然に迎えることができたのは、やはり遠泳という共通の目標があったからだ。
吉本の運転する四輪駆動車に先導してもらい、佐千子は父のクーペで後を追う。
高速道路からの風景が、溶かされ、風に流されていくようだ。