空しか、見えない

 宿に戻ると、風呂を浴びた。食事は、大食堂は子どもたちでいっぱいなので、自分たちで部屋に運ばせてもらった。ごじべえのおじさんが、忙しいだろうに嫌な顔ひとつせずに、大きな盆を手渡して、対応してくれる。
 畳敷きの6畳の部屋がふたつ、片方が男子、片方が女子の部屋だ。それぞれの部屋の隅には、みんなの荷物や麦わら帽子やおしゃもじが積んである。まゆみが、義朝のおしゃもじも、持ってきてくれた。
 実家のお母さんに頼んで、貸してもらってきたそうだ。
 窓際には、銘々ハンガーにかけて、バスタオルや水着も干した。
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