空しか、見えない
「そうだ、フーちゃん、どうやって来たの?」

「特急を調べたら本数が少なくて、座席の予約したの。誰かひとりくらいには会うと思ったのに。もしかして環とサセは待ち合わせしたの?」

 ほら。フーちゃんは、佐千子の予想通りだった。

「俺たち、いま付き合ってるから」

 環はそう言って、胸のおしゃもじを突き出してみせる。

「なんてな。偶然」

 駅の前からのびる長閑な商店街から、シルバーの四輪駆動車が、滑り込んできた。
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