空しか、見えない
「えー、何これ。環まだ持っていたの?」

 駅前の喫茶店には、ジャズが流れていた。
 店のカウンターには、エプロンをつけたおばさんがひとり。客は他になく、カウンターには冬蜜柑が摘んであるような、長閑な雰囲気の店なのをいいことに、5人はテーブルいっぱいに、めいめい持ち寄った思い出の品をさっそく広げ始めた。
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