空しか、見えない
 環が広げたファイルには、佐千子にも見覚えのある新聞が、No.1からずっと順番に保存してある。
 いや、見覚えがあるなんてものではなくて、それはまさしく佐千子が中学時代に、誰に頼まれたわけでもないのに勝手に発行していた「サセの新聞」だった。皆からサセと呼ばれるのが嫌だったくせに、新聞のタイトルには堂々と太字でそう手書きしてある。
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