空しか、見えない
 マリカのきれいな指先が、ファイルの表面を動くのを見つめながら、フーちゃんが身を乗り出す。

「〈情報部員 ことりっぴ〉じゃない?」

「そうそう、ことりっぴ」と、マリカ。

「それと、〈情報部員 なめこちゃん〉よ」

 ふたたび、フーちゃんが見つける。

「それで、〈サセの新聞記者一同〉って、最後に必ず書いてあるの。ひとり新聞社だったんだよ」

「才能あったよなー、サセ」
< 91 / 700 >

この作品をシェア

pagetop