愛してるが言えなくて
第一章
二十歳の誕生日
『愛美…もう終りにしよう』
Yシャツのボタンをはめながら、その男は言い放った。
その男とは、4年間私を囲っていた人。
『マンションはそのまま使ってくれればいいから』
手切れ金の代わりだとでも言いたいのか、
私の為に用意してくれたマンションは完全に私の物になった。
『じゃあ、元気で…さようなら』
悲しくも何とも無かった。
4年間、この男にただ抱かれるだけの毎日だった。
そこに愛なんてない。
あるのは、ただお金だけ。