愛してるが言えなくて
(今日、仕事の後、梨花さんに聞いてもらおう…私の過去を全部話そう…)
一番信頼できる梨花さんになら話せると思った。
圭輔の気持ちを信じることが
まだ私には出来なかった。
いつもより短めにシャワーを止めて、
バスタオルを巻いてリビングへ向かうと、
圭輔はすでにスーツに着替えていた。
『愛美、そんな格好で出てくんなよぉ〜!おあずけ喰らって辛いのに…』
『もぉ!!ほんっとバカなんだから!』
バスタオルを剥がされそうになるのを必死で抵抗するけど、
笑いが抑えられなくて、力が入らなかった。
手を掴まれて、体ごと引き寄せられる。
圭輔はバスタオルの上から私を抱き締めて、
『今日は本当にごめんな?今日、早く帰って来るから待ってて?』
優しい声でそう言って、キスをしてくれた。
『うん、無理しないで…早く帰って来てね』
圭輔は私より一足先に仕事へ向かった。
圭輔がいない部屋は急に静かになる。
圭輔といると楽しい。
圭輔といると安心する。
圭輔といると素直になる。
圭輔といると温かい気持ちになれる。
…私、圭輔を愛してる。