愛してるが言えなくて
『なぁ、愛美?お前って地元どこなの?地元のツレの話とかしねぇし、この辺じゃないんだろ?』
日も傾けかけた頃、
私と圭輔にとっての朝のコーヒーの時間。
フッと圭輔がそんな質問をした。
『あぁ、私色んなとこ転々としてるから地元とかないの』
『ふぅ〜ん?お父さんが転勤族だったとか?』
『ううん、私は親がいないの…だからよ』
圭輔は不思議そうな顔をした。
私があまりに淡々と話したからか、
それ以上、深く追及してくることはなく会話を終えた。
『そろそろ仕事行かなきゃいけないんじゃないの?今日も頑張って』
『あぁ…そうだな、じゃあこれ飲んだら行くわ』
そう言って残りのコーヒーを飲み干して、
圭輔は仕事へ出掛けて行った。
(はぁ…)