愛してるが言えなくて
『…どんな人でした?』
(まさか…)
私は心がざわつくのを感じた。
『歳は40後半くらいで、いかにも金持ってますって感じの人だよ、愛美ちゃんいつの間にあんなお客さん捕まえたの?』
ボーイさんの言葉に顔が青ざめていくのがわかる。
(間違いない、真田さんだ…)
私は梨花さんに聞こえないように、
『ヘルプ、誰も付けないでください』
ボーイさんにコソっと耳打ちして店に戻った。
梨花さんが心配そうな顔で見つめていたのが、
背中で感じていたけど、振り返らずに店に入った。