愛してるが言えなくて
逃げられない過去
暗い部屋の中で、どのくらい時間が経ったのだろう…
私には、もう夜は明けないんじゃないかと思うくらい、
静かで長い時間だった。
─ピリリリリ〜─
静かな部屋に携帯の音が鳴り響く。
《圭輔》
うるさく鳴り続く携帯には、
愛する人の名前があった。
『もしもし?』
『愛美?仕事終わったか〜?連絡ないから気になって!俺、今日は忙しくて早く帰れねぇかも知れないから、先寝てろよって電話したんだけど……愛美?聞いてる?』
『……ん』
『どうした?何かあったか?』
圭輔の声に、涙が溢れてくる。
『おい!愛美?大丈夫か?』