愛してるが言えなくて
ある夜、いつものように相手を求めて街をさまよっていると、
一人の男が声を掛けてきた。
いつも私を買ってくれる男たちとは少し雰囲気が違っていた。
(こいつ…もしかして刑事かな?)
さすがに捕まるのだけは嫌だった。
警戒しながらついて行くと
その男は高級そうなレストランに私を連れて行った。
(…なに考えてるんだろ?)
いつもはホテルに直行だった。
抱くだけ抱いてさっさと帰る男ばっかりだった。
『君、いくつ?』
食事をしながら、その男は聞いた。
『ハタチ』
私はとっさに嘘をついた。