愛してるが言えなくて
私はあてもなくフラフラと夜の街を歩いていた。
こんな時に話を聞いてくれるような友達もいない。
私は独りだった。
『お姉さん、可愛いね〜今ドコのお店にいるの?』
気付いたら私は夜の繁華街にいた。
『お金、たくさん貰えるの?』
話し掛けてきた男に聞いた。
『お姉さんくらい可愛かったら月100は稼げるよ』
『100?風俗?』
『あはは、お姉さん面白いね〜うちは健全なキャバクラだから安心して?』
(キャバクラか…暇潰しにはなるか…)
私はキャッチの男に付いて行った。
『じゃあ、ここに生年月日と名前と住所書いて、あと身分証明書ある?』
私は免許証を出した。
4年間のあいだに男が教習所だけは通わせてくれた。
『二村愛美(フタムラエミ)ちゃんかぁ…えっ今日、誕生日?』
『…えっ?』
ずっと家にこもりっきりだったせいで、日付の感覚が無かった。
(今日で二十歳だったんだ…)
二十歳の誕生日に捨てられたと思ったら、
おかしくて笑えてきた。
『フフッ』
『エミちゃん?どうかした?』
キャッチの男が不思議そうに顔を覗きこむ。
『…別に、何でもないです』
明日から、このキャバクラで働く事になった。