愛してるが言えなくて
ドキドキしながら非常階段に向かった。
その人は、外を眺めながら煙草を吸っていた。
長い髪が風になびいている。
(………き、綺麗)
しばらく見とれるくらい梨花さんは綺麗な人だった。
『あ…あの、ボーイさん達が呼んでますけど』
私に気付いて梨花さんがこっちを見た。
『あぁ…ありがとう』
煙草を消して、またこっちを見て
『…あなたは?』
見とれて自己紹介し忘れていた。
『あっ、愛美です。初めまして…』