愛してるが言えなくて
第三章
初めての夜
梨花さんが私達に遠慮して帰ると言った。
(せっかく話を聞いてくれてたのに、付き合わせちゃったな…)
圭輔さんが来てから、梨花さんとは
ほとんど会話してなかった。
『俺らも帰ろうぜ』
そう言って三人で店を出た。
圭輔さんはずっと手を繋いだままだった。
外に出て梨花さんに一言謝った。
梨花さんは、いつもの笑顔で私達を見送ってくれた。
『家、行っていいの?』
二人になってすぐ圭輔さんがそう聞いてきた。
私は黙って頷いた。
圭輔さんも無言で私の手をさらにギュッと握り締めた。