愛してるが言えなくて

昼過ぎに起きると、圭輔はまだ寝ていた。


先にベッドが出て、食事の用意をする。


(きっと今日、たくさんお酒飲むんだろうな…)


そう思って、胃に優しいメニューにした。


圭輔は起きてこない。


先にシャワーを浴びて、化粧して出勤の準備をする。


圭輔がやっと起きてきた。


『おはよう』


『愛美、おはよう…あっ飯…わりぃ俺、今日お客さんと一緒に飯食うから…』


『えっ?』


(聞いてないよ…言ってくれればいいのに…お客さんって女の人?)


すごく不安だった。


こういうのをヤキモチとか束縛とか言うのかな?



『愛美?もしかしてお前、心配してんの?』


圭輔はケラケラ笑ってた。


『だってぇ…圭輔、店に来るなとかお客さんと食事するとか…』


『それも仕事だからだろ?たくさん稼いで、お前の事…幸せにしてやりてぇからだろ』


圭輔は照れ臭そうにそう言った。


『…圭輔』


私は涙が出るくらい嬉しかった。


《幸せにしてやりてぇ》


そんな事を好きな人に言われるなんて初めてだった。


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