はっちゃんの大冒険

しばらくするとはっちゃんはまた立ち止まりました。

はっちゃんのちょうど背の高さに、大きな黒と黄色の模様のくもがいます。

そしてはっちゃんの傘くらいありそうな大きなクモの巣の真ん中でじっとしています。

公園へ行く道を通るたびに、はっちゃんはこの大きなくもが飛びかかって来るんじゃないかと思っていつもおかあさんにしがみついていました。

今日はおかあさんはいません。

はっちゃん一人だけです。

少しだけ近付いてみました。


いつもは忙しそうにやぶれたクモの巣をきれいになおしている大きなクモが
雨にぬれながらクモの巣の真ん中でじっとしています。


すこし見上げた大きな大きなクモの巣は、雨にぬれてたくさんのしずくをつけています。

まるで、去年のクリスマスにみたクリスマスツリーについていたイルミネーションのようにかがやいて見えました。


きれい・・・。


はっちゃんはくもが怖いのも忘れて、ぬれたクモの巣を見つめました。


クモは怖いけど、こんなに大きなクモの巣をつくるのはきっと大変だったはず。

だってはっちゃんも自分の背の高さまで積み木をつむのは取っても大変だって知っているから。


そう思うと、怖い気持ちもあるけれど何だかクモの事を頑張り屋の友だちのようにも思えてきました。


手のひらをぐっと握りしめて、傘をぐっと強く握って、はっちゃんは思い切ってクモの巣の下をくぐりぬけました。


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