おもいでぽけっと
だから…あたしは卒業式の日に虎太郎の家のポストに手紙をいれたんだ…。


虎太郎のことが好きです…って。


で、あたしはその日に引っ越したの。


虎太郎には引っ越すなんて一言も言わずに…。」


あたしの話を紗那はうなずきながら、静かに聞いてくれた。


「そっか…。そんなことがあったんだね。でも、虎太郎からの返事は?」


「…返事は聞かなかったの。返事を聞くのが怖かったから…。」


怖かった…。ううん。正確に言うと…逃げたんだ。


自分の恋愛から…虎太郎から…。


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