おもいでぽけっと
「…覚えてる。」


「柚子に辛いこととかがあったら1人でため込んでほしくなかったんだ。だから、あぁ言ったんだ。」


「……。」


そんな深い意味があったんだね…。


なのに、あたしはあの言葉を軽く受け取っちゃってた…。


またあたしの目から涙がこぼれおちる。


「さっき引っ越すことを聞いてしまった時、また言ってくれないまま行っちゃうんじゃないかと思った。

もしいつのまにか柚子が俺の前からまたいなくなったら…俺はまたあの頃と同じ道をたどるかもしれない。」


同じ道…?


「ど…どういうこと?」


「…柚子は気付いていなかっただろうけど、6年の時俺は…好きだったんだ…。」


「…誰…を?」


「柚子を…。」


信じられない…。


虎太郎が…あたしを?



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