かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「正紀は普通の女の子と付き合ったほうが…」
「バーカ。何言ってんの?」
正紀はそう言って私のおでこを軽く叩く。
「イタ…っ!」
「俺は美来がいいんだよ」
「でも…」
「母親がそんな弱気でどうする? 俺もできることはするからさ」
「…」
「大地は俺にとっても大事な存在なんだ。まあ フラれっぱなしだけど」
「正紀…」
「大丈夫だよ、美来」
「…」
「大丈夫!」
笑顔でそう言う正紀。
だけど私はそんな風に笑う余裕はない。