かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「美来、いい加減キャバクラでの仕事は辞めなさい」
「それを言う為に来たの?」
「そうだ」
「大地の病気が進行すれば辞めなきゃいけない日が来ると思う。だから働けるうちは…」
「お父さん。あれを」
「ああ」
お姉ちゃんの言葉を受けて、父親はテーブルの上に通帳を差し出す。
「これは?」
見慣れない色の預金通帳。
私はそれを手にとって首を傾げる。
「それを使いなさい」
「?」
ペラペラと通帳をめくっていく私。
そこにはかなりの金額が記入されている。