かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

「美来、いい加減キャバクラでの仕事は辞めなさい」

「それを言う為に来たの?」

「そうだ」

「大地の病気が進行すれば辞めなきゃいけない日が来ると思う。だから働けるうちは…」

「お父さん。あれを」

「ああ」

お姉ちゃんの言葉を受けて、父親はテーブルの上に通帳を差し出す。

「これは?」

見慣れない色の預金通帳。

私はそれを手にとって首を傾げる。

「それを使いなさい」

「?」


ペラペラと通帳をめくっていく私。

そこにはかなりの金額が記入されている。

< 121 / 258 >

この作品をシェア

pagetop