かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「大地、正紀知らない?」
「そこ」
「ん?」
大地が指差すのはソファ。
急いでソファの表側に回ると、そこには正紀が寝そべっていた。
顔に本を載せたまま寝てしまったらしい。
「ブッ!」
本の隙間から見える超間抜けな寝顔。
私はその顔に思わず吹き出してしまう。
「正紀、起き…」
顔に乗っている本を取り上げようとして、私はハッとする。
その本のタイトルが『脊髄性筋萎縮症』、
要は大地の病気に関する本だっていうことに。