かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「ごめん、私だ」
デジスプレイの表示されたのは修二の名前。
あの後も彼とは2回ほど電話で話をしていた。
でもこんな時にかかってくるなんて。
「…もしもし?」
私は正紀に聞かれないよう、さりげなく廊下のほうへ歩いていく。
正紀はそんな私を少し不思議そうに見ている。
『美来? 今、会えないか?』
「え? 今?」
『南公園の近くに住んでるんだろ? 近くに来てるんだけど』
「どうしたの?」
『大地の顔が見たくてさ』
「今は無理だよ」