かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「ごめんな、急に」
「ううん。どうしたの?」
「これを渡しに」
修二はそう言って、茶封筒を私に差し出した。
「これは?」
「とりあえず今月分の養育費。仕事始めたばっかで少ないけど」
「だからお金はいいって!」
私はその封筒を修二のほうに突き返す。
「それは大地の養育費だよ。美来に拒否されても、俺には払う義務があるんだ」
「…」
「会うのが嫌なのは分かる。来月からは振り込むから、口座番号聞こうと思ってさ…」
昔の修二とは比べ物にならない。
今の彼にはDV夫の面影はこれっぽっちもなくなっている。