かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「分かった。これは大地の為に使わせてもらいます」
「ああ、大地によろしくな」
彼は切なそうに微笑んだ。
「…なんて、ただの口実かもしれないな」
「え?」
「口座番号なんてメールで聞けばいい話。本当は少し会いたかったのかもしれない」
「…」
「美来と大地に…」
修二の口から出た意外な言葉に、私は顔を上げる。
「人間ってバカな生き物だよな。全部失わないと気づかない」
「修二?」
「あれからずっと後悔してた。自分を責め続けてたんだ」
「…」
「美来、もう1度俺にチャンスをくれないか?」