かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

「…」

「なのに、俺がいきなり現れてあんなこと…。悪かった」

正紀は私の手を離して、そう頭を下げる。

「私こそごめん。ちゃんと話して出て行けば良かったのに」

「いや」

「修二とはこの間 偶然再会して…」

「何となく分かってたよ」

「え?」

私は正紀の言葉に顔を上げる。

「大地がここ最近、父親の話ばかりしてたから」

「そう…、なんだ」

「パパは優しい人なのか、怖い人なのか分かんない… って」

< 169 / 258 >

この作品をシェア

pagetop