かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「美来、さりげなく傷つけるよな。お前って…」
正紀はそう苦笑している。
「だってVEGASだよ? いくら正紀がギターそこそこ上手くても、いきなりあんな有名バンドになんて…」
「そこそこで悪かったな」
「とにかくっ、正紀の夢が叶うチャンスじゃない!!」
「…」
「今すぐお父さんに事情話して就職の件は…っ」
私は正紀の肩をガシッと掴む。
だけど彼の表情はどこかパッとしない。
「俺、受ける気ないよ」
「…え」
「もう何度も断ってるんだ。でも真紀、しつけーんだよ」