かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -


本当に不思議な気分。

大人になった正紀とまたこの場所に来れるなんて。




「そういえば…」

正紀が1人で思い出し笑いをしてる。

「何?」

「お前、ここで行方不明になったよな。覚えてる?」

「覚えてるよ。ひどいよね、みんなとっとと下山して!」


忘れるわけない。

あれは小学校卒業間近。

『小6になってかくれんぼ?』って嫌がるみんなを誘って、最後の思い出作りにここに来た。

まるでサヨナラを拒むように。

うまく隠れすぎた私は、そのまま日が暮れても放置されることになったんだけど…。




「あの時の鬼って正紀だったよね~?」


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