かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
私は慌ててオーナーに笑顔を見せながら、正紀の横に腰を下ろす。
「ちょっと…っ、何してんの? 何でここにいるの?」
周囲に聞こえないように限界まで小さな声。
「ん~? ちょっと見学に来ただけ」
「だから、どうしてここが分かったのよ!?」
「どうしてってこれ」
「?」
正紀が差し出した1枚の紙切れ。
それは私のキャバクラ用の名刺だった。
「何でアンタがそんなもの持ってんの?」
「この間 ウチに手帳忘れただろ? そこから大量に落っこってきたんだよ」
「あ…」