かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
失くしたと思っていた手帳。
正紀の家に忘れたんだ。
カバンからすり抜けたのかな?
「ほらよ。中身は見てないからな」
「どうせ大したこと書いてないから」
私は手帳を受け取る。
「それにしても驚いたよ、美来がキャバ嬢だなんて。飲食関係じゃなかったの?」
「それは…」
できることなら知られたくなかった。
あの頃のまま、綺麗な私でいたかったから。
「引いた?」
「何で? 別に引くような仕事じゃないだろ。美来、頑張ってんじゃん」
「…」