かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「本気で目指してんの?」
「本気だけど?」
「止めといたほうがいい。正紀、歌は向いてない」
「何だと~~?」
私の頭を軽く小突く正紀。
「もう1度誰かとバンド組んで、ギターに収まりなさいって」
「黙って聞いてれば…っ」
『正紀ぃ、その子は?』
そんな私たちの様子を、ギャラリーの女の子たちが不安そうに見てる。
「ああ、コイツは幼なじみ」
『な~んだぁ』
「あ、でも今夜はこの辺でお開きってことで」
『え~?』
「俺は今からコイツとデートすることにしました♪」
正紀はそう言って、私の肩に手を掛ける。