かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

「本気で目指してんの?」

「本気だけど?」

「止めといたほうがいい。正紀、歌は向いてない」

「何だと~~?」

私の頭を軽く小突く正紀。

「もう1度誰かとバンド組んで、ギターに収まりなさいって」

「黙って聞いてれば…っ」

『正紀ぃ、その子は?』

そんな私たちの様子を、ギャラリーの女の子たちが不安そうに見てる。

「ああ、コイツは幼なじみ」

『な~んだぁ』

「あ、でも今夜はこの辺でお開きってことで」

『え~?』

「俺は今からコイツとデートすることにしました♪」

正紀はそう言って、私の肩に手を掛ける。

< 69 / 258 >

この作品をシェア

pagetop