かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「ちょっとな」
「誰にでもああなの。あの子、私とお姉ちゃんにしか懐いてないから。特に若い男の人が苦手みたいで…」
「若い男?」
「父親のせいだと思う。無意識のうちに警戒しちゃうのかな」
「何かあったの?」
「んー、DV男ってやつね。大地には見せちゃいけないもの、沢山見せちゃった。辛い思いもさせちゃった」
「美来…」
心配そうな正紀の顔。
「そ~んな湿っぽい顔しないでよ。世間ではよくある話!」
私は無理して笑顔を作った。
「美来も色々と苦労したんだな」
「まあね。12年あれば色々あるよ!」
「もう12年か」
正紀はそう呟いてタバコに火をつける。