かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
あの頃のような純粋な気持ちはもうとっくに失ったの。
「別にバツが付こうが子ども産もうが、汚れるわけじゃなーだろっ」
「…」
「美来は今も綺麗だよ」
私は正紀の言葉に顔を上げる。
「俺の好きだった " あの頃の美来" と何も変わってない。…初恋だったんだよ」
優しい笑顔と言葉。
そんなこと言われたら私ー…。
「…正紀」
「ん?」
「何で今頃そんなこと言うのよ。遅すぎだっつーの!」
私はベンチから立ち上がって正紀から背を向ける。