かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「なら、もう忘れて?」
「嫌だ」
「正紀っ」
「本当に " 幸い " なんて思ってるの? それが美来の本音?」
正紀の視線に私は俯く。
ううん、本当は思ってない。
「俺は美来の本音が知りたい」
「私は…」
私は真っ直ぐに正紀のほうを見上げる。
「私は悔しい。正紀のこと、ズルいって思う」
「ズルい?」
「だってズルいでしょ? 1人だけで勝手に楽しんじゃってさっ」
「楽しむって…、お前。何か妙にリアルな話に…」
照れくさそうに私を見る正紀。