フィレンツェの恋人~L'amore vero~
プロローグ
Sei sempre nei miei pensieri e nel mio cuore.
Ti amo.
それは、ハルがくれた最初で最後の手紙だった。
「出て行って。ここは、あなたの居るべき場所ではないの。ハル」
「ぼくの全てを知ったから、そんなことを言うの」
「いいえ。疲れたの……もう」
終止符を打ったのは、私なのに。
後悔しているなんて馬鹿みたいね。
「東子さん……」
触れたのかもよく分からない、キスだった。
それがサヨナラの意味だということは、馬鹿な私でも、すぐに分かった。
「さよなら……東子さん」