フィレンツェの恋人~L'amore vero~
トゥーランドット
一昨日、クリスマスイヴの夜に起こった殺人未遂事件の犯人が逮捕された。
AM 6:10
携帯電話のアラームが鳴って、目が覚めた。
「ええーっ……もう朝になったの」
くあっとあくびをしたハルが、起き抜けの寝ぼけ眼をぱちぱちさせながら、テレビのリモコンに手を伸ばした。
「寝たと思ったら朝だ。ああ、眠い」
「ハルは眠っていてもいいのに。私は仕事があるから。準備しなければならないけど」
もぞもぞと毛布から抜け出した時、
「起きるよ。だって、東子さんが起きるのにぼくだけ寝てるなんて失礼でしょ」
ハルがリモコンのスイッチを押した。
「にがーいコーヒー飲みたい」
『マツモトサトシ容疑者、年齢は被害者女性と同じで二十歳。ふたりは元恋人関係でした』
「……え」
『マツモト容疑者は、男女関係のもつれから犯行に及んだとみられ』
テレビの画面に映し出されていたのは、強烈なフラッシュがたかれる中、警察署に入って行く容疑者を乗せた黒光りするワゴン車だった。
クリスマスイヴ 殺人未遂事件 男女関係のもつれか
と、テロップが流れている。
『マツモト容疑者は被害者女性と別れた後、幾度にも渡りストーカー行為に及んでいたと供述しており、素直に素直に犯行を認めているという事です』
「うわ、恐ろしいね。男女関係のもつれだって」
ハルが呟く。
「そう。捕まったのね」
呟いてキッチンへ向かう私に、ハルが言った。
「ああ。そういう事だったんだね。やっと分かったよ」
ドン、とソファーに手をついて、ハルが身を乗り出して来る。
「え? 何?」
AM 6:10
携帯電話のアラームが鳴って、目が覚めた。
「ええーっ……もう朝になったの」
くあっとあくびをしたハルが、起き抜けの寝ぼけ眼をぱちぱちさせながら、テレビのリモコンに手を伸ばした。
「寝たと思ったら朝だ。ああ、眠い」
「ハルは眠っていてもいいのに。私は仕事があるから。準備しなければならないけど」
もぞもぞと毛布から抜け出した時、
「起きるよ。だって、東子さんが起きるのにぼくだけ寝てるなんて失礼でしょ」
ハルがリモコンのスイッチを押した。
「にがーいコーヒー飲みたい」
『マツモトサトシ容疑者、年齢は被害者女性と同じで二十歳。ふたりは元恋人関係でした』
「……え」
『マツモト容疑者は、男女関係のもつれから犯行に及んだとみられ』
テレビの画面に映し出されていたのは、強烈なフラッシュがたかれる中、警察署に入って行く容疑者を乗せた黒光りするワゴン車だった。
クリスマスイヴ 殺人未遂事件 男女関係のもつれか
と、テロップが流れている。
『マツモト容疑者は被害者女性と別れた後、幾度にも渡りストーカー行為に及んでいたと供述しており、素直に素直に犯行を認めているという事です』
「うわ、恐ろしいね。男女関係のもつれだって」
ハルが呟く。
「そう。捕まったのね」
呟いてキッチンへ向かう私に、ハルが言った。
「ああ。そういう事だったんだね。やっと分かったよ」
ドン、とソファーに手をついて、ハルが身を乗り出して来る。
「え? 何?」