フィレンツェの恋人~L'amore vero~
そして、カラフは見事に3つの謎を解いた。


誰にも解けまいと自信を持っていたトゥーランドットは、解かれてしまった事に酷く動揺する。


そして、カラフの妻になる事を拒んだ。


カラフは言う。


『夜明けまでにわたくしの名を明らかにできたら、その時は、この命を捧げよう』


「そこで、トゥーランドットはまたしても群衆に無茶苦茶を言い出すわけだ。夜明けまでに……」


『夜明けまでにあの見知らぬ男の名が分かるまで、北京では誰も寝てはならぬ。寝た者はみな斬首の刑とする』


群衆はみな血眼になって、男の名を調べ始める。


そして、カラフと話していたところを見られ、捕まってしまったのは、父のティムールとリュー。


リューは、ティムールに仕える女奴隷。


リューは、自分だけが男の名を知っていると言い、拷問にかけられる。


しかし、どんなに酷く残酷な拷問にかけられても、リューは口を割らない。


その理由を、煌さんが言った。


「リューは、カラフを愛していましたから」


トゥーランドットは、口を割ろうとしないリューに問う。


『なぜ、この拷問にそこまで耐えられるのだ』


リューは、『それは、愛の力!』と言って短剣で胸を刺し自害の末、果てる。


それも、愛するカラフの目の前で。


カラフは酷く悲しみに暮れる。


愛の力とはそれほどまでに素晴らしいものなのか、とトゥーランドットは崩れ落ちる。


群衆が去った広場に、トゥーランドットとカラフが残される。


カラフは、拒むトゥーランドットにキスをする。


そして、自ら名を明かした。


『わたくしの名は、カラフ。この命はトゥーランドットの物。どうぞ、好きにして下さい』


「夜が明けて、群衆たちの前で、トゥーランドットは男の名が分かった、と勝利の宣言をしました。勿論、群衆たちはカラフが斬首の刑になると思っていました。しかし、彼女は言った」


あの台詞、覚えていますか、と煌さんが聞いて来た。
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