一人鬼ごっこ
第十章 対話
『着いたよー』
葛西が言った。
ここは正しく中央病院の近く。
俺達は放課後、早速葛西に案内してもらった。
俺達ってのは具体的に言うと、俺、千秋、慎、の3人なんだけどな。
唐松さんの家は、まぁまぁお洒落なアパートだった。
一人暮らしらしい。
葛西がインターホンを押した。
暫くして、ドアが開く。
唐松さん、ご本人登場。
『直樹……どもっ』
葛西が苦笑いで挨拶をした。
唐松さんは一瞬驚いた表情をしたが、それはだんだん笑顔に変わっていった。
『真奈美じゃないか!!』
そう言って葛西に抱きついた時の顔は、満面の笑みだった。
……って抱きついた!?
普通、従妹が訪ねてきたら抱きつくだろうか!?
――そんな訳ないし!!
『直樹離して! 皆ひいてるじゃん』
……まあ、ひいてるけど。
すると唐松さんは初めて俺達の存在に気付いたのか、目を見開いて言った。
『誰だ!!?』
こっちが聞きたい。
テレビでの印象と違い過ぎる。