一人鬼ごっこ
第十一章 砂糖
『はい』

「ありがとうございます」

 俺は靖奈さんからコーヒー受け取った。
 俺は砂糖を入れずにそのまま飲んだ。

 うん、おいしい。

 それを見ていた千秋が声を上げた。

『椿、砂糖入れないの!?』

「え、入れないけど」

『苦くない!?』

「このくらいが丁度いいんだよ」

 俺はいつもブラックだ。

『絶対苦いって〜』

 千秋が自分のコーヒーに砂糖を入れて言った。

『あんな苦いの飲むなんて信じられないね』

 そう言う慎。

「……俺にはお前の方が信じられない」

 慎は何度も何度もコーヒーに砂糖を入れている。

『うっわ!! 甘そう!!』

 慎のコーヒーを見て、千秋が言った。

『このくらいが丁度いいんだよ』

 慎は俺が先程言った言葉を呟いて、砂糖大量入りのコーヒーを飲んだ。

「飲んだよこいつ……」

『椿も飲んでみる?』

 慎が笑顔で言った。

 俺が甘いの嫌いなの知りながら……わざとだろ!!

「飲むかボケ――」

 俺がそう言った瞬間、慎は俺の口に自分のコーヒーを押しつけた。
 砂糖大量コーヒーが、俺の口の中に侵入していく。

『おいしい?』

「甘っっ!!!!」

 ってか不味っっ!!!!
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