一人鬼ごっこ
第十八章 治癒
『軽い熱中症かなぁ? まぁちょっと寝てれば治ると思うよ〜』

 そう言いながら濡れたハンカチを俺の額に乗せてくれた。

 ひやっとして、気持ち良い。

 ちょっとビショビショ過ぎるけど……。


「あ、ありがとうございます」

 何か俺、知らない人に看病してもらってる。

『もしかして僕って怪しい人かな〜?』

 冗談混じりに男が言った。

「いやー、あの……その〜」

 俺は言葉に詰まる。

 怪しい、と言えば怪しいし……。

『――ああ!! お互い名乗るのを忘れてたね』

 え、名乗らなきゃならないの?

『僕は〜……』


『アン〇ンマン』

「は?」


『ドラ〇もん』

「はあ?」


『まあそんな感じ』

「どんな感じですか……」

 何なんだろうこの人。
 でも少し楽になったかも。


 って言うか……

 鬼ごっこの途中だった!!

「あのすみません! 俺ちょっと行かなきゃならないんで!!」

 俺は慌ててベンチから起き上がった。

『ふぇ?』

「本当にありがとうございました!! ではっ!」

 俺は急いで家と反対の方向へ走っていった。
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