一人鬼ごっこ
『ばいばーい』

『部活行こ!』

『さよなら〜』

 そんな声が聞こえる今は放課後だ。

「慎〜、京介〜! 部活行こうぜ」

 俺と慎と京介は、同じ陸上部に所属している。
 因みに千秋は美術部だ。
 何しろ千秋は根っからの運動音痴だからだ。

『悪ぃ!! ちょっと今日、先帰るわ』

 京介が両手を合わせて言った。

「? ――おう」

『サンキュー!! 部長にも言っといて!』

 そう言い終わるか終わらない内に、京介は教室を飛び出して行った。

「なんだぁ? あいつ……」

『母親が心配なんでしょ』

 慎がいつの間にか俺の隣に居た。

 あ、そうか……。
 能天気な事言ってても、やっぱり心配なのかな。
 素直じゃ無い奴!

『じゃマザコンは放っといて部活行くよ』

 折角の母親思いの少年をマザコンて!!

「……じゃあな千秋」

 俺は慎に半ば呆れながらも、千秋に手を振った。

『うん! 帰ったらメールするね!!』

 千秋と別れて、俺は慎と部活へ向かった。
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