夏 ~日差しに照らされて~
泣かない…あたしが泣く資格はない。
翔の涙は綺麗すぎるから。
『翔、あたしは新しい家に帰るね!あとは…よろしく。』
鍵を渡して、部屋のドアに手をかけた。
『なんで?』
『何が…?』
『鍵…田崎くんの婚約者だろ?』
翔の顔が見れない。
泣き止んでくれないから。
『それを持ってられること、あたしはしてないから。あのままここから出て行くことになるなんて、最悪でしょ?これがあたしの償い…。許してとは…言わない。』