恋のソリューション
そんなことを考えていたら、さっそく目の前に、PowerPointで作られた資料が差し出された。見たところ、客先に提出したシステム提案書っぽい。

「後藤物産のシステムだが……」

うわぁ~、相変わらずだ。
半月ぶりでも5年ぶりでもどっちでもいいけど、久しぶりって言ったんなら、もうちょっとお互いの近況報告とか、本題に入る前に軽い雑談くらいあってもいいのに。
陣野さんは、無駄話などいっさいせずに、すぐさま仕事の話に入るつもりらしい。
こういうところ、変わってないな……。
ま、そういう真面目なところも、好きなんだけどね。
それならば、と私も頭を仕事モードに切り替え、顔の表情を引き締めなおす。

「後藤物産とうちの付き合いが長いのは、知ってるか?」
「はい、知っています。後藤物産さんは、うちの重要顧客ですから」
うん、と私の返事に満足そうにうなずいた陣野さんは、PowerPointの表紙をめくって続けた。

「ここのシステム、ひと言で言ってしまえば物流管理システムなんだが、一気に導入ってわけにいかなくて、4つのフェーズに分けて導入している。
現在は、フェーズ3のデバッグ作業の終盤。
メンバーは全員、客先のコンピュータールームに常駐して、テストとデバッグを行っている。
おまえも、今日の午後からさっそく合流してもらう。
あぁ、そうそう、おまえ、データベースの資格を持ってるそうだな?」

――ギクリ。

データベースか……。

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